かぶせないための7つの法則「法則その1」


※この内容は、研究所が立ち上がる前の研究員個人ブログのアーカイブです

 かぶせないための7つの法則とは次の7つです

1、問題は解決しなくていいい
2、相手のことはわからなくていい
3、「正しい」と思うことをするな
4、人は変わらなくてもいい
5、反省をしないこと
6、「願い」も「望み」も持つな
7、あなたの防衛本能をとれ

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法則その1
「問題は解決しなくていい」
A男は頭が切れて優秀な男性です。
仕事はバリバリとこなし、努力家でもあり、結果をきちんと出すことを自身にも課していました。

仕事では多くの部下を指導する立場にありました。

年代も環境も違う多くの男女の部下を指導し、実績を出していくことに常日頃苦労を重ねていました。

社会人になるのに平気で遅刻をしたり、期日までに仕事をやりあげず悪びれずにいる、一部の今どきの若い部下の気持ちが理解できませんでした。
再三注意を促しても、全く変化する兆しがみえません。

しかし、それを指導し伸ばしていくのが自分の仕事。
生来、まじめで一生懸命なA男は、問題だと思われる部下の一人一人を丁寧に面談し、話を聞くことにしました。
彼はいろんなセミナーも受講してきているので、上からガミガミいうのは逆効果になるということは知っていました。
だからこそ、上から言われたと感じないよう、しっかり傾聴し、できるだけ本人が気づくよう、気を付
けて話す
ことにしました。

A男は早速、部下と話を始めました。
部下がこういう性格になったのは、両親の育てられ方やは家庭環境が影響しているということは、いろいろなセミナーや本でも聞いて知っています。

ですから、部下の家庭環境や両親との関係、また、過去の出来事などを丁寧に細かく聞いていくことにしました。
そして、その通り、家庭環境や両親との出来事、幼少時のとこなどを、時間をかけてゆっくりと質問しながらの面談を始めました。

話を聞いていくと、今まで知らなかった部下の生い立ちなど驚くような話も出てきました。
確かにここに原因があるのではないかと思えることが出てきます。

A男は、それとなく本人が原因に気付けるよう、言葉を選びながら話していきました。
そして、じっくり聞いたうえで、部下が原因に気づき、そしてそれがあるあるからこそ、今があるんだと気づいてもらえるよう、ゆっくりと話ました。
さらには、やる気が出るようアイデアを出し、「君ならできるよ」と、熱く励ましたりもしました。


面談が終わると、部下は「ありがとうございました。いろいろ気づくことが出来ました」そう言ってくれました。
「おかげで、考えが変わりました」と、そう言ってくれる部下もいました。
また「良く分かりました。私がまずかったのですね」そう、自分を変えようとしてくれる部下もいたのです。


中にはなかなか分からない、自分の勝手な考えを述べる部下や黙ってしまう部下もしたので「きっと、私の言っていることがわからないのだろう」そう思ったA男は、さらにじっくりと質問をしてみるのです。
「君の言っていることはこういうことだよね。君はどうしたいのかね?君が望んでいることを言っていいのだよ」
しかし、そう言えば言うほど、黙ってしまう部下もいました。

なかなか気持ちが伝わらないものだと、A男はそう思うのですが、確かによくなっていると思える部下もいるのだから、さらなる努力で、何とか部下をよみがえらせてみようと、一生懸命やっていました。


生来真面目なA男は、精一杯、一生懸命やりました。
これで本人たちも気付いて、前向きにやってくれると思っていました。

しかし、しばらくすると社内の妙な空気に気付くのです。

 

A男は、しばらくすると社内の妙な空気に気付きました。
何故か、部下が自分との距離を持っているような気がするのです。

原因を知ろうとして部下を誘うのですが、何故か、飲みに誘っても、お茶に誘っても都合が悪いと言って、なかなかゆっくり話が聞ける機会がつかめません。


しばらくすると、思ってもいない話を耳にすることになりました。
「A男さんと話すと、根掘り葉掘り聞かれる」
「仕事と関係ないことを、あれこれと探るように聞いてくる。まるで尋問されているようだ」
「まるで私たちがダメな人間で、自分の言っていることが正しいかのように、人生の説教をされる」


A男は驚きました。
あんなに喜んで「A男さんのおかげです。元気が出てきました」と、そう言っていた部下さえもそう言っているというのです。


自分が部下の心のふたを開けてしまったので、心のゴミが出てきて、それを自分にぶっつけているのではないのか?
確かに両親へのトラウマがある部下もいた。
部下の父親に対するものを、わからないがまま自分にぶっつけてきたのか?

いったいどういうことなのか・・・?
いったい何が起きたのか・・・・・?

A男には全く理解が出来ませんでした。

A男は感謝されていると思い込んでいたし、気をつけて上から目線にならないように接したつもりでいたのからです。


部下が言っているというその話に、人が信用できなくなり傷ついたA男は、すっかり自信を無くしてしまいました。
さらには、自分自身が被害者のような気持ちになってしまったA男は、部下の指導にも嫌気がさしてきました。

そして、どうすれば良かったのか、考えれば考えるほどわからなくなり、反対に考えるほど腹が立ってきます。


そんな時、佐藤康行のセミナーがあるというので、ここにしか答えはないと思い、早速、出かけていくことにしました。

佐藤康行はその日、『かぶせる』という話をしました。

A男は「自分はかぶせているはずはない」と思っていたので、この出来事を佐藤康行に質問することにしました。

「なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか?
何が起こっているのでしょうか?」

佐藤康行はA男にこう答えました。

A男さん、あなたがやっていらっしゃるのは全部「対処療法」です。
A男さんがされているのは、全部「対処療法」
なのです。

私が今日のセミなーでお話しているのはその話じゃないのです。
「いっさいのミスが無くなる。
一切が消えちゃう。
そういうのがなくなる
そうなりましょう」
とそういう話をしたのです。

「ア―私は思い違いをしていた」と
本当にそうであったとしても自分で勝手に気づいていく
そういう話をしたのです。

こういう問題にこうしたというのは、私の言っている満月の話ではないのです。
それは三日月に対しての対処療法。

うまく行ったように一見、見えるけど、あっちではすぐに問題が起きる。
まるでモグラたたきをしているようなものです。
こっちをやればこっちに……というようにね。

それはいくらやっても、それこそ空中でなにかをやっているようなものです。
クルクル回っているだけで、成果が出ない。
そのまんま放っておくと、完全に会社内で浮いてしまいますよ。

私にはA男さんが自分ではもの凄く真面目にやっているのはよくわかります。
A男さんが、もの凄く真面目で誰よりもしっかりやっているはずなのに。
ハッと気が付いたら自分だけが宙に浮いている。
このままだとそうなってしまっても仕方がないですよ。

「私はもういろんなことを知っているのに、お前たちは知らないだろう」と、無意識にそういう感じになっているのかもしれませんね。
本当に無意識でしょうけれどもね。

こういう面談とか、カウンセリングのようなものは、やるほうの上下関係意識が強いと、どうも浮いてしまうようですね。

そして、佐藤康行はさらに続けて「解決脳」についての話をするのでした。

そもそも問題は無いのです。
ここでやっているプロカウンセラーはそれをやっているのです。
問題を問題として見ないでやっている、それがプロカウンセラーなのです。

「あなたは問題抱えているでしょ」っていう言い方やそういう雰囲気はない。
問題ないんだから。

私が言っているのは、相手が「問題だ」といってきた時、相手が「問題」と思っていることに対して歯車合わせで言っているのであって、もともと問題は無いのです。

ですから、問題じゃありませんっていったら、消えるのです。「ア―問題ないのだな」って。


でも、「何も問題ないですよ」と言ったとしても、A男さんが心の中で問題だと思いながら「問題ないですよ」といっても、相手はさらに問題だと言われているように感じてしまう。
そういうこともあるのです。

それは「解決脳」なのです。
「解決脳」とは物事を解決しなければならないという脳です
解決脳、はビジネス脳です。

いいですか?
「問題は解決しなくていいのです。」
なぜならもともと問題は無いからです。


解決しようという「解決脳」はビジネスをバリバリやっている男性の脳です。

それはたぶん戦争後、経済成長するために企業が取り入れてきた戦後教育だと思うのです。

ある意味、A男さんは仕事上で、知らないうちにそういうビジネス脳になっている可能性があります。
ですから問題を解決しようと「対処療法」になってしまったのかも知れません。

A男さん自身がいろんな問題意識を持っている人を狙い撃ちで「あなた何か過去に問題あるでしょう」とやった。
それが余計な事。
余計なお世話。

問題ある人はいない、あるとしたら全員だというのが私の考えなのです。

だから、A男さんから何かきたら「私が何か問題あるのかな」と、相手がそういう風に思っちゃう可能性がある。
そういう風になってしまう。
そうすると、社内で浮いてしまうことがあるということなのです。

 

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