母の死(母を送る) ①

今日は母を送った時の体験をお話します。

母は認知症でした。
5分前のこともすぐに忘れてしまいます。

認知であっても、田舎で一人暮らしをし、一人で暮らせることが母の誇りでもあったようです。
よく私たち子供にこう言っていました。「お母ちゃんは一人でも寂しくない。本当に気が楽で、お陰で風邪ひとつ引くことなく、こんな元気で暮らしている。いうことないほど幸せだ」と。
今から考えると、私たちのことを思って言ってくれていたのか、本当にそう思っていたのか・・・・。
多分、両方の気持ちだったことでしょう。

そんな母が突然脳梗塞で倒れました。
救急車で運ばれ、病院に入院しました。母は87歳です。

ある程度、いつかは・・・・と覚悟もしていましたが、いざ、そうなると慌てふためいてしまいました。

脳の大半をやられてしまった母は、しゃべることも食べることも動くことも、勿論トイレも自分では出来なくなってしまいました。
ただ、病院のベッドで寝ています。

医師は、回復の見込みが無いと言うことを、レントゲンの写真を見せながら説明してくれました。そして、今後どれだけ生きられるのか解らないと言うことも言われました。

そして、治療方法について家族の意見を求められました。

通常なら口から物を食べられないのですから、胃ろう(胃に穴を開け、直接栄養を胃に入れていく)をし、長期に備え、老人病院に転移することが一般的なようです。

私は母が元気な時から毎月母の元に帰っていましたので、認知であっても、母が「長い間病院で寝ているのは嫌だな。ころっといけたらいいけど、そんなうまい具合にはいかないかもしれないけど、出来たら自分の家で死ねたらいいな」と言っていたことを何度も聞いています。

ベッドで寝ている母の姿を見ると、どうしてもこのまま老人病院に入れて、母の最期を迎えさせるのは忍びないことでした。

いろいろ悩んだ結果、母を家に連れて帰って、そこで最後を迎えさせてようと考えました。
こんな簡単な事に、私は決心できるまで、悩んでしまったのです。

担当医にその旨相談すると、「自宅介護は思っているほど簡単ではありませんよ。人は簡単には死ねませんから、唸ったり、血を吐いたりすることもあります。娘さんの気持ちはわかりますが、気持ちだけではやれませんよ」と言われました。
担当医は担当医として、私のことを考えてそう言ってくださったのだと思っています。

でも、私はどうしても母を自宅で最後を迎えさせてやると決めたので、連れて帰ることにしました。
担当医には胃ろうを断り、点滴で介護することを相談し、今後の様子を見ることにしました。

退院前に、おむつ交換、体位交換の仕方。尿管をしているので、尿のこと。そして、痰を取る練習。点滴を落とす速度など、いろいろ教えてもらいましたが、病院にいるときは何といっても看護士さんがいて下さっていたので、本格的な介護は自宅に戻ってからスタートしました。

いよいよ退院許可を頂き、母をストレッチャーに寝かしながら、介護タクシーで久しぶりの家に向かいます。

母は、じっと車の窓から外を眺めていました。
家に帰るのがわかるのか、嬉しそうに動かない顔を緩めて、嬉しそうな表情をしています。

11月の終わりごろでした。
帰る道々、息子とお嫁さんと三人で介護タクシーの中で「桜が咲いたら、見に連れていけたらいいね」などと話ながら、母に「もうすぐ家に帰れるよ。ほら、ここは○○の橋の上だよ。ほら、いつものガソリンスタンドを曲がったよ」などと話しかけながら帰ってきました。

母はじっと窓の外を見ていましたが、多分、空しか見えなかったことでしょう。

自宅について、家の中に入る時に、一人で暮らしながら、草引きをしたり、花を作ったりしていた庭をじっと見ていました。
家に帰ったのが解ったんだね。きっと。

母がいつも過ごしていた、居間に介護ベッドをいれ、そこで介護することにしました。

そこから、母との奇跡の時間が始まりました。

介護に慣れるまで、どうしたらいいのか解らないことだらけでした。
熱いのか寒いのかも解りません。
痛いのか、苦しいのかもわからない中で、母も私も生活に慣れていくのに精一杯の時間を過ごしていました。

そんな中で、母がいろんなことを教えてくれました。


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